潮風キッチン ( 2021 喜多嶋隆 ) 読了
あらすじ
ある日母親が男と蒸発してしまい独りぼっちになった海果に追い打ちをかけるように住居兼店舗の店まで抵当流れの危機に直面する。途方に暮れる海果であったが愛という少女との出逢いや、慎という若手俳優との出逢いから少しずつ人生は好転の兆しを見せてゆくのでした。
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家族から捨てられたり、疎まれたり、必要とされないといった負の感情を抱えた若者たちが出会い、絆を結び、希望を見出すという物語です。
読み進めていると「自分も海辺の街にいる」ような不思議な感じを覚えました。
爽やかさのある物語ではないかもしれませんが、優しさは沢山ありました。
( blog plus )
著者:喜多嶋隆さんについて
初めてかな...? 喜多嶋隆さんの本を読むのは。
wikiによるとベテランの作家さんだし、映像化された著作も多いとのこと。
文字から情景が浮かぶ作家さんは好きなので、少し興味を持ったので機会があれば本作は続編もあるようなので読みたいと思う。
[ memo ]
「潮風」シリーズ(角川文庫)
- 潮風キッチン(2021)
- 潮風メニュー(2022)
- 潮風テーブル(2023)
- 潮風マルシェ (2024)
- 潮風サラダ (2025)
「ポニー・テール」シリーズ (角川文庫)
これは1980年代のヒットシリーズなので古本で状態の良いものは見つけられないだろうから電子を選ぶしかなさそう ( todo 一応古本も探してみる )
[ additional notes ]
・丸々と太った茶トラの雄ノラ猫の名前は「ジョーンズ」
ジャズ好きの漁師徳さんにより命名だから由来は「ノラ・ジョーンズ」
・登場した楽曲
The Temptations「My Girl」
Ben E. King「Stand by Me」
Carole King 「You've got a Friend」
Elton John「Goodbye Yellow Brick Road」ほか
自分の趣味と合うからという単純な理由だけど、趣味がいいし、シーンに適した選曲だと思った。特に「 You've got a Friend 」はこの物語の象徴的な曲だと思う。
♪ When you're down and troubled and you need some loving care and nothing.
Nothing is going right close your eyes and think of Me. ♪
愛という少女の境遇を海果が改めて感じた瞬間、その小さな背中に背負っている苦しさや寂しさに寄り添う海果の気持ちを「もう君は友達なんだよ」と代弁していた。
[ wrap-up ]
最初にも書いたけれど、読感がとても気持ちいい。
海沿いの街の海と人、優しさや寂しさも全部擬似体験できるような気がする
